
寝袋の穴はどうやって直す?モンベルの修繕テクがプロすぎた!
軽くてあたたかいダウンジャケットや寝袋は、針穴のような穴が空いても羽毛が飛び出す。
数センチの穴があいたらプロに補修を頼むしかない。
そこでモンベルに、シールよりも目立たない職人技の修繕術を見せてもらった!
火の粉や引っかけて生まれた小さな穴から羽毛がふわふわ…
穴空きの補修はどうやっているのか、モンベルの担当者に教えてもらったところ「同じ生地で作った当て布をミシン掛けして穴をふさぐ」という一般的なもの。
けれども「織り目をバイアス状に配置して伸縮性にすぐれた寝袋は、当て布も斜めになるよう縫い付けます」。

けっこうな穴が空いている。この状態を補修していく。

糸と当て布の色を合わせる
修理依頼された寝袋に当てたときになるべく目立たないよう、似た色・質感の生地を選ぶ。
もちろん縫い糸も、寝袋の縫い糸と見比べながら目立たないものを選択する。

生地の方向を見ながら当て布を準備
穴の大きさを測り、穴よりも一回り大きな当て布を作る。ストレッチ性を考慮するのもモンベルならでは。
切り取った当て布は、四方をコテで折り目を付けて縫いやすく処理。

補修に使う生地は色見本をつけて保管している。
寝袋のほかに中綿入りウエアやシェルを補修するそうで、どれもモンベルショップで見慣れた色ばかり。

当て布を縫い付ける
目打ちを使いながら当て布のフチ、ギリギリにミシンをかける。
今回の小さな穴(一辺3cmほどのかぎ裂き)は寝袋に直接縫い付けたが、場所によっては縫い糸をほどくこともあるそうだ。
また、ジャケットの場合はより違和感がないよう、縫い目にあわせて当て布をするという

羽毛を補充して縫い目を隠す
3辺を縫い付けたら、羽毛を入れて縫い目の近くに配置。
抜けた羽毛の補充というよりは、薄い生地は当て布の縫い代が目立つので、これをわかりにくくするための配慮。

補修完了。もう羽毛が飛び出ない!
シームテープの剥離も貼り替えればまだまだ現役
縫い目の裏に貼られたシームテープ。頑張れば自分で貼り直せるけれど、処理が甘いとすぐに再び剥がれてしまう。
プロの技術を頼るのが正解だ。

接着樹脂の劣化でテープが剥離している。この状態を補修していく。

糊まできれいに剥がす
まず、浮いてしまったシームテープを取り除く。
生地には接着剤が残っているので、細いひもを当ててシームテープを貼るときと同じ温度の熱を加えて接着剤を溶かしてひもに移す

シームテープを貼りなおす
あらためて素材にあったシームテープを専用の機械で熱を加えながら貼り直す。
ジャケットもパンツも立体的な作りなので、余計なシワがないよう貼り直すのも大切な技術。

熱を加えて剥がれにくく
貼り直したシームテープは、適切な温度に設定した機械で押しつけていく。
とくにパンツのマタ部分など複数のテープが重なり合うような部分は不可欠。
これを自宅で再現するのは難しい。

見事に復活!
出典/ガルビィ2025年1月号