
意外と知らない危険な毒虫に注意!アウトドアのプロが夏キャンプの虫対策を徹底解説!
夏のキャンプ場でとくに注意したい虫
自然のなかで楽しむキャンプに虫はつきもの。
そこで今回は、要注意の虫について、アウトドアコンサルタントの小清水哲郎さんに教えてもらった!

小清水哲郎さん
アウトドアコンサルタント。ウィルダネス リスクマネジメントジャパン理事。
野外系の企画・開発をはじめ、チームビルディングアウトドア・キャンプ系の教育研修も行う。
夏のキャンプ場でとくに注意したい虫
被害に遭いやすいのは、蚊、ブユ、アブ。これらはどこのキャンプ場でも生息しています。
また、山林に近く野生動物の多いエリアではヤマビルの被害が増えています。
マダニはライム病を媒介することもありますので、刺された場合にはとくに注意が必要です。
■ 蚊

●大きさ/5.5mmぐらい
●潜んでいる場所/風通しや日当たりが悪く、葉が茂っている場所
ヤブ蚊といわれるシマシマの蚊は、ヒトスジシマカという種類。
日中、とくに早朝と夕方、雑木林の木陰や草むらなどでよく見られます。
ヤブ蚊は、北海道を除く日本のほとんどの地域に分布しており、気温の上がる5月中旬から10月下旬にかけて活動して、22~30℃の時に活発に動きます。
風のある日や太陽が照りつける場所では刺されにくいです。
■ ブユ (ブヨ、ブト)

●大きさ/2~4㎜
●潜んでいる場所/渓流などの⽔辺近くの草むら
東ではブヨ、関⻄ではブトと呼ばれ、渓流などのきれいな水辺近くに生息し、主に夏場の朝夕に活動します。
刺すのではなく、皮膚を嚙み吸血しますが、小バエほどの大きさで、目立ちにくく、吸血中も気がつかないことが多いです。
吸⾎したあとは点状の出⾎が出て、強いかゆみとともに、熱も持ち、嚙まれた箇所は大きく腫れ、かゆみが数日間続きます。
■ アブ

●大きさ/8~14㎜
●潜んでいる場所/川や沼などの湿地
アブは7〜9月の産卵時期に積極的に吸⾎をするので、温度や濃い⾊に反応して人にまとわりつきます。
ブユと同様に、口で吸血する虫ですが、ブユよりも大きく、吸血時に大きな痛みを伴いますのですぐにわかります。
そのあと、⾎がにじむような痕がつき、激しいかゆみや腫れが長く続くことも。
患部をきれいな水で洗い流し冷やしましょう。かゆみや腫れがひかないときはなるべく早く医療機関へ。
■ マダニ

●大きさ/吸⾎前3〜8㎜、吸⾎後は10〜20㎜
●潜んでいる場所/⼭林、草むら、ヤブ
⽣息場所に近づいた動物や⼈に寄⽣し、吸⾎します。
⽪膚にしっかりと⼝を突き刺して吸⾎し、満腹になると⾃分から離れますが、それが数⽇から10⽇間ぐらいかかることも。
無理に引き抜こうとするとマダニの⼀部が⽪膚内に残ってしまい、炎症を起こしたり、ライム病などを媒介することがあるので、無理に剝がしたりせずに、できるだけ医療機関で処置を。
■ ヤマビル

●大きさ/2〜7㎝
●潜んでいる場所/落ち葉の下など湿気の多いところや林など
ヤマビルは陸に棲むヒルで、湿気の多いところを好みます。
体に吸盤があり、尺取り⾍のような伸び縮みする動きをします。
⾬の⽇や、⾬のあとに、体温や息に含まれる炭酸ガスを感じて人に近づきますが、そのスピードは1分間で1mほどと意外に速め。
体に張り付くと、移動して服の内側に入り込み、肌に吸着して⾎を吸い、血を吸い終わると自ら離れます。
血を吸って大きくなるとナメクジサイズになります。
■ 夏のキャンプ場でほかにも注意したほうがいい虫は?

ハチやムカデにも要注意!
サイト近くで足元周辺にハチが頻繁に飛んでいるようなら地バチの巣に注意しましょう。
もしハチに刺された場合は、その場からすぐに離れて針を取り除き、ポイズンリムーバーなどで毒液を抜きます。
そのあと、傷口を水で洗い流し、抗ヒスタミン剤を塗り、冷やします。
もしショックなどの異常などがみられたら、すぐに病院へ。
ムカデは嚙まれると激痛が走ります。脱いだ靴の中に入り込むこともあるので、履く前にチェック。
また就寝時、靴はテント内へ。嚙まれたときは、毒を絞り出して抗ヒスタミン剤を塗り、患部を冷やしましょう。
今すぐできる虫対策テクニック
■キャンプサイトでイヤな虫を防ぐにはどうしたらいい?

体と空間、それぞれをガードして防ぎましょう
夏に人が過ごしやすい場所には、虫も多くやってきます。
肌の露出が少ない服装と虫よけ剤、テントサイトは殺虫効果や忌避効果のある薬剤を用意しましょう。
どの虫に対しても、服装の基本は肌を見せない長袖、長ズボン。⾊は⿊よりも⽩系。
蚊やブユは、肌に密着した服だと虫の針や口が届くこともあるので、ふんわりした服を選ぶのがおすすめです。
逆に、ヤマビルやダニは、タイツのように肌との隙間がなく目の細かい素材の服が、入り込むことができず刺されにくくなります。
足元も要注意。夏の足元はサンダルやショートソックスになりがちですが、虫にとっては絶好の餌場。
朝夕や雑木林では長めのソックス&シューズをチョイス。

サイトでは、噴霧すれば一定時間、虫を寄せつけないアウトドア用の空間虫よけでガード。
蚊取り線香は地面に近い位置、そして風上に置くと効果あり!
■ 「虫が寄りにくくなる」ランタン活用術
虫が感知しにくい光
光には虫が集まってきやすい。光量の差を利用したり、虫が感知できない波長の光(LEDやオレンジ色の光)を利用したりして、リビングに虫を寄せ付けないようにしよう。

8800円
虫が感知しにくいオレンジの光を採用。付属の蚊トリフレクターに蚊取りマットを取り付ければ、積極的に虫を防ぐこともできる。

虫が生息する森側の光を遮断する蚊トリフレクター。
さらに蚊取りマットを装着すれば、リフレクターの熱を利用して蚊とり効果がアップ。

虫は波長の短い白や黄色の光に反応し、波長が長いオレンジ色の光を感じにくい。
この性質を利用してグローブで光の色を変え、虫を寄せ付けない。
大光量ランタンに虫をおびき寄せる

明るいランタンをリビングの少し外に設置して虫をおびき寄せ、テーブルには少し暗めのランタンをセット。
これだけでリビングには虫が寄りにくい。
また、LEDの光には虫が寄りにくいので、LEDランタンと併用してもいい。
■風の強い日や雨の日は、蚊に刺されないの?
刺されにくくなります
蚊は⾵速2m以上(そよ⾵)程度で⾶ばなくなるため、風のある日や、⾬の⽇は蚊に刺されにくくなります。
夏のキャンプは日陰のある森や林のなかのサイトを選ぶことも多いですが、こういった場所では風が弱まるので蚊は活発に活動しています。
⾵の抜けのよい開けたテントサイトは比較的、蚊には刺されにくいです。
虫に刺されてしまった時は?
■蚊、ブユ、アブに刺されたり、嚙まれたりしたときの対処法は?

ポイズンリムーバーで毒を吸い出すのがおすすめ
蚊、ブユ、アブ、ハチなどは、ポイズンリムーバーという毒を吸い出すための道具を使うのがいちばん有効。
ハチ毒を吸い出すための道具として知られていますが、実は蚊やブユ、アブなどでも、毒を外に吸い出してくれるので、かゆみや痛みを減らすことができます。
そのあと、⽔で洗い流して薬を塗り、かゆみがひどい場合は、保冷剤などを使って冷やすとかゆみがやわらぎます。
抗ヒスタミン剤を含む薬品なども⽤意するとよいでしょう。
全般的にかゆみはヒスタミン軟膏で抑えられますが、もし、ひどい腫れなどの症状が出たときは、炎症を抑えるためにステロイド外用剤を使いましょう。

吸引して毒を排出するポイズンリムーバーは、応急処置アイテムのひとつとして用意しておきたいもの。写真は定番のアスピラボ「アスピブナン」。
■ ヤマビルに吸い付かれたら、引っ張って剝がしていい?

無理に剝がすのはNG。歯が残って化膿の恐れも
吸⾎中は⼩さな⻭で⾷いついています。無理に剝がすとその⻭が肌に残り、化膿することもあります。
満腹になったら自分から離れるので、⾃然に剝がれ落ちるのを待つか、あるいはヒル⾃⾝が⼝を離すように仕向けましょう。
昔からある手法としては、ライターやタバコの⽕をヤマビルに近づけて剝がれ落とす⽅法があります。
また⾍よけスプレーをかけると嫌がって離れます。傷口は水で洗い流し、抗ヒスタミン剤などを塗布しておきましょう。
■もしマダニに嚙まれたら……確実に取り除く!

ドクターシェック ティック・ツウィーザー ウルトラ
マダニは通常のピンセットや毛抜きで取ろうとしても、頭や口が皮膚に残りやすい。
皮膚に残されたマダニの一部から細菌に感染する恐れがあるので、確実に取り除く必要がある。

ティック・ツウィーザー ウルトラはダニを簡単に、確実に除去できる専用アイテム。いざというときのために用意しておきたい。
大きいダニも小さなダニもパーツを使い分けることで、より取り除きやすくなる。
サイトを守る強力虫除けの決定版6選!
蚊はもちろん鬱陶しいけれど、さらにかゆい、痛い、怖いのが、アブ、ブユ、マダニ、ヤマビルの虫たち。
そこで今回は、虫よけ空間をつくってくれるアイテムを紹介。
蚊に効くものもあるので、用意しておこう。
※各製品に記載されている虫は、今回特化したアブ、ブユ、マダニ、ヤマビルに関しての適応を示しています。
■ キャンプサイトに虫を寄せつけない!
KINCHO 家のまわりにハチ・アブよせつけない線香
【アブ・ブユ】
定番の「金鳥の渦巻」の約2倍の断面積を持ち、広い範囲で効きめが広がる太巻きタイプ。
拡散性と殺虫性に優れた有効成分トランスフルトリン配合で、ハチやアブのほか、ブユ、ユスリカなどにも効果があり、キャンプサイトに寄せつけない。
1巻で約6時間効果が持続。10巻入り。

断面積が広いので、有効成分を安定して拡散できる。
【問】大日本除虫菊 お客様相談室
■コールマンとコラボしたパワフル線香
アース 極太虫よけ線香 コールマン 30巻箱入

【アブ・ブユ】
有効成分のメトフルトリンは屋外での空間忌避効果が高く、アブやブユ、ユスリカをキャンプサイトから遠ざける。
1巻で約4時間燃焼。ビャクダンの香り。
【問】アース製薬
■約8時間マダニのいない空間に!
ライオンケミカル Wトラップ 空間ガード ヤブ蚊・マダニスプレー

ライオンケミカル Wトラップ 空間ガード ヤブ蚊・マダニスプレー
【マダニ】
溶剤を極力控えてウォーターベースで製造した安全、安心なアイテム。
虫が潜んでいそうな草むらや地面に噴霧すれば駆除ができ、約8時間マダニや蚊のいない空間をキープできる。
有効成分メトフルトリン。容量580㎖。
【問】ライオンケミカル
https://www.lionchemical.jp/
■線香もパッケージもすべて天然成分!
児玉兄弟商会 ロハス線香 太巻き20巻

児玉兄弟商会 ロハス線香 太巻き20巻
【アブ】
キャンパーにおなじみの「パワー森林香」のコンセプトをそのままに、環境負荷軽減にこだわったのがこちらの製品。
天然除虫菊が原材料で、害虫には効果を発揮しつつ、人体への安全性は高くて安心。
一般的な線香の約1.5倍の厚みがあり、燃焼時間は5時間半~6時間。
【問】児玉兄弟商会
■スタイリッシュなデザインがサイトで映える!
Thermacell アウトドア用ブユ・虫シールド Outdoor living

【ブユ】
屋外専用のスタイリッシュな空間虫よけ。
マットに染み込ませた有効成分プラレトリンを加熱、揮散させることで虫よけ空間をつくってくれる。
有効範囲はブユが直径1~2m、ユスリカは直径4~5m。
マット1枚で最大4時間、専用のブタンガスカートリッジは1本で12時間使用可。サイズφ8.5×H16.3㎝。
【問】SESお問い合わせ窓口
■連泊でも心強い、長時間使える虫よけ
Thermacellアウトドア用ブユ・虫シールド Backpacker

Thermacellアウトドア用ブユ・虫シールド Backpacker
【ブユ】
屋外専用のOD缶を使用する虫よけギア。
有効成分や範囲、マットの使用時間は「アウトドア用ブユ虫シールド Outdoor living」と同じだが、別売りのガスカートリッジ(OD缶)により最大75時間使用可能で連泊キャンプも安心。
本体も重量120gとコンパクトで携帯しやすい。本体サイズ:約6.8×5×H12㎝。
体を守る虫よけアイテム5選
※各製品に記載されている虫は、今回特化したアブ、ブユ、マダニ、ヤマビルに関しての適応を示しています。
■9種類の虫を1日中しっかりガード!
アース サラテクトミスト

【アブ・ブユ・マダニ・ヤマビル】
有効成分ディート10%配合。汗や水で流れにくく、朝使えば夜まで1日しっかりガード。
蚊やブユ、マダニなど9種類の虫に効果があるのも心強い。
可燃性の高圧ガスを使用しないノンガスタイプで、火のそばで過ごすことが多いキャンプでも安心して使える。
【問】アース製薬
■天然由来の忌避成分配合。消臭効果もあり!
ナチュラルケミストリーラボ BPEファブリックスプレー プロユースX5
【ブユ・ヤマビル】
同社の従来品よりも、ブユ対策に有効な成分を5倍以上も増量。
ヤマビルにも効果があるこの虫よけは、ディートや殺虫剤が不使用。
天然由来の成分なので、子どもから大人まで使えて安心だ。
消臭効果もあり、香りは森を感じさせるハーブミックス。容量100㎖。
【問】ナチュラルケミストリーラボ
■肌に塗るウォータープルーフタイプ!
児玉兄弟商会 蚊・マダニよけローション

【マダニ】
虫よけ剤としてメジャーなディートを配合したローションタイプ。
肌に塗り込むことで、マダニや蚊を寄せつけなくする効果あり。
また、ウォータープルーフタイプなので、汗をかいたり、水遊びしても、効果が持続する。
持ち運びに便利なコンパクトサイズも快適。容量50㎖。
【問】児玉兄弟商会
■忌避効果は1週間!濡れても効果が持続
イカリ消毒 ヤマビルファイター
【ヤマビル】
有効成分ディートとウレタン樹脂配合。
ウレタン樹脂で服や靴をコーティングするので、雨などに濡れても有効成分が落ちにくく、忌避効果は1週間ほど持続する。
着用する衣類の表面が濡れる程度に噴霧し、その後はしっかりと乾かせばOK。
【問】イカリ消毒 特販部
■ディート不使用のヤマビル対策スプレー
エコ・トレード ヒル下がりのジョニー
【ヤマビル】
ディート不使用で、弱アルカリ性溶剤やハッカ油など自然界で生分解される主成分で製造しており、環境にも配慮。
足元からひざ下を中心に、長靴や衣類の上からスプレーすれば、ヤマビルによる吸血を防ぐことができる。
ヤマビルに直接噴霧で殺虫も。容量140㎖。
【問】エコ・トレード
知らなかった!キャンプに持って行きたい最新虫対策アイテム
■ドイツ生まれの最新機器「ヒートイット」
ヒートイットは、スマートフォンの充電ポートに挿し込んで使用する“虫さされ対策機器”だ。虫に刺されるとアレルギー反応 でヒスタミンが分泌され、血流が増えることで痒くなるが、 ヒートイットを使って患部を温めることでヒスタミンを分解することができる。
これは医学的にも確認されているパーサミア(温熱療法)。患部を約51度まで短時間で温めることで科学分質を使用することなく対処可能。

また、ヒートイットの注目すべきところはコンパクトな形状と、スマートフォンにあらかじめ専用アプリをインストールしておけば、“いつでも” “すぐに” 使用できるところだ。
iPhone、Androidともにこちらからアプリのダウンロードが可能。


いざというときの使い方も簡単。スマホの充電ポートに機器を差し込み、対応アプリにて処置する時間を選択。短時間で予熱が完了した後、ヒートイットの加熱板を患部に当てる。約51℃の熱が虫刺され部位を温めてくれる。iPhone用とAndroid用(USB-C ポート)の2タイプがあるので使用しているスマートフォンに合わせて購入しよう。また、コンパクトな形状でキーホルダーにつけることも可能。いつでも持ち歩けるのも嬉しい。

アブ、ハチ、などの虫刺されに使用できるヒートイット。虫刺されが気になるこれからの時期、重宝する製品である。
製品概要
ヒートイット
料金:¥6,820(税込)
サイズ:17×38×8mm
重さ:5g
タイプ:2タイプ(iPhone用、 Android用)
お問合せ
「ヒートイット 」はドイツのカメディ社の虫刺され対策機器。2023年4月上旬から飯塚カンパニーより全国の登山専門店、アウトドアショップで販売が開始した。
株式会社 飯塚カンパニー
〒101-0032 東京都千代田区岩本町2-7-11安田ビル
TEL:03-3862-3881
FAX:03-3862-5940
HP:http://iizukaco.co.jp/
※営業時間 平日10:00~16:00
■ 殺虫ランタン
営道具を中心に展開するメーカー「ブッシュクラフト」から、虫嫌いな人におすすめの「500ボルト誘引殺虫ランタン」が登場した。
3段階調整のLEDライトと羽虫を誘引して500Vの電流で殺虫するUVライトを組み合わせたランタンとなっていて、ボディをクリアにすることでUVライトをより際立たせることに成功。IPX6防水なので、水道などで手軽に洗えるのもうれしい。キャンプだけでなく屋外作業にも便利そうだ。
LED照明と誘引灯は個別でも同時でも点灯が可能となっていて、殺虫ネットに届かないような大きな羽虫でも誘引ができるとのこと。キャンプサイトから少し離れた場所に設置することで、羽虫を遠ざける効果が期待できそうだ。

【問】ブッシュクラフト
TEL.042-730-5017
https://www.bushcraft.co.jp