
「意外と知らない」初心者のための失敗しない賢いテントの選び方とは?
テントの選び方は、キャンプ初心者にとって最初の大きな壁といえる。アウトドアショップを覗けば、ドーム型、ワンポール型、ツールーム型など、形も名称もさまざま。
さらに素材や設営方法まで加われば、情報量は一気に増え、選ぶどころか「どこから考えればいいのか分からない」という状態に陥る人も少なくない。
そこで大切なのが、「自分にとって何が大事か」を見極めることだ。
この記事では、数ある選択肢を前にして迷ってしまう初心者のために、「時短重視」か「くつろぎ性重視」かというシンプルな視点から、失敗しないテントの選び方を提案しよう。
あなたは「時短派」?それとも「くつろぎ派」?
テントの選び方で迷ったら、まずはこの問いに自分なりの答えを出してほしい。
初心者の場合、テントの種類や構造を先に学ぶよりも、「自分の価値観」から選んだほうが、後悔のない買い物ができるからだ。

たしかに、テントにはワンポール型、ツーポール型、ドーム型といった構造上の違いがあり、それぞれにメリットや設営手順の違いがある。
しかし、こうした分類はある程度経験を重ねてからの話だ。キャンプに慣れていない段階で、ポールの本数やフレーム構造を理解しようとすると、かえって混乱を招いてしまうこともある。

むしろ、最初に意識すべきは「どんな体験をしたいのか」という視点。
設営の手間を極力減らして、アクティビティを思いきり楽しみたいのか。それとも、自然の中でくつろぎの時間をゆったり過ごしたいのか。
こうした「キャンプの過ごし方」に照らして選べば、構造の知識がなくても、自分に合ったテントに自然とたどり着くことができる。
こんな人は「時短派」
・設営や撤収の手間をできるだけ減らしたい
・キャンプよりも、他のアクティビティに時間を使いたい
・荷物を少なく、身軽に出かけたい
こんな人は「くつろぎ派」
・テント内でくつろぐ時間を大切にしたい
・家族やグループで連泊を予定している
・ある程度の荷物を快適に収納したい
【時短派向け】設営・撤収がカンタンなテントを選ぶ
ワンタッチ式・ポップアップ式のメリット

ワンタッチ式やポップアップ式のテントは、数ステップで自立する構造になっており、設営にかかる時間も少ない。
特別な力や技術がなくても、直感的な操作で形が整い、「テント設営」という最大のハードルをあっさりと乗り越えられる。
撤収も同様にスムーズで、キャンプ場での「面倒な作業」を感じることなく、すぐにリラックスモードに入れる。

たとえば、DOD ワンタッチテント T2-629-TNは、広げて脚をロックするだけで設営が完了するモデル。ソロやデュオ向けで、女性ひとりでも扱いやすい設計が好評だ。

また、Quechua(ケシュア) 2 Seconds Easyシリーズは、ポップアップ式テントの代名詞とも言える存在。
フランス発のアウトドアブランドDecathlonが展開しており、設営と撤収のしやすさに加え、耐水性能や遮光性にも優れている。
こうした時短型テントは、「とにかく簡単にテントを立てたい」「キャンプ場で面倒な作業をしたくない」と考える人にとって、理想的な選択肢となる。
注意点と選び方のコツ
時短型テントはその構造上、コンパクトである反面、居住空間が狭く、耐風性や通気性がやや劣る傾向にある。そのため、以下の点には注意したい。
●風への備え:軽量ゆえに風に弱いモデルもある。ペグやガイロープでしっかり固定することが重要。できるだけ、しっかりしたフレーム構造があるものを選びたい。
●寝具や荷物のサイズ確認:内部が狭いため、使用予定の寝袋やマットとの相性をあらかじめ確認しておく。
●雨天対策:遮熱・遮光・防水に配慮されたタイプなら、時短型でも悪天候にある程度対応できる。
【くつろぎ派向け】空間性と安定性で選ぶ
ドーム型・ツールーム型の魅力

自然の中でくつろぐ時間を重視するなら、まず検討したいのがドーム型やツールーム型のテントである。
これらは構造的に天井が高く、壁の傾斜も緩やかで、圧迫感のない広々とした居住空間を確保しやすい。雨天や日差しの強い日でも、テント内で快適に過ごせるため、天候に左右されずにキャンプを楽しみたい人に適している。
特にツールーム型のテントは、寝室と前室(リビングスペース)が分かれているため、用途に応じた空間の使い分けができる。
前室では靴を脱がずに休憩したり、簡単な調理や食事、着替えなどが行え、家族やグループでのキャンプでもプライベートと共有のバランスがとりやすい。

ファミリーキャンプの定番として人気を集めているのが、コールマン タフスクリーン2ルームハウス。
このモデルは、耐風性に優れたフレーム構造を持ちながら、メッシュスクリーン付きのリビングスペースで風通しもよく、夏場でも蒸れにくい。
大人2人+子ども2人程度の荷物であれば余裕をもって収納できる容量があり、快適性と実用性のバランスが取れた設計となっている。

また、よりシンプルながら高性能なモデルを求めるなら、スノーピーク アメニティドームがおすすめだ。
設営は比較的簡単で、説明書と公式動画を見ながらでも初心者が一人で組み立てられるレベルに設計されている。
コンパクトながら風雨への強さは折り紙つきで、春・秋の冷え込みや突然の天候変化にも安心して対応できる。
ソロ用からファミリー用までサイズ展開が豊富で、将来的なスタイルの変化にも柔軟に対応できる点も魅力だ。
注意点と選び方のコツ
●設営に時間と手順が必要:慣れれば20〜30分で設営可能なモデルもあるが、最初は練習が必要。公式動画での事前確認をおすすめしたい。
●収納サイズが大きい:車載を前提にしたサイズ感のモデルが多い。軽量化重視のキャンパーには不向きな場合もある。
●価格もやや高め:全体的に価格が張る傾向にあるが、耐久性とアフターサポートの面では優れており、長期的には安心できる買い物になる。
まとめ|初心者が避けたいテントの選び方
初心者にありがちなのが、「とりあえず安いものでいいか」と決めてしまうこと。しかし、安価なテントは防水性や耐風性に不安があったり、設営が予想以上に難しかったりする場合がある。
初回のキャンプで「こんなに大変ならもうやりたくない」となってしまっては、本末転倒だ。
むしろ、多少高くても、設営がラクで安心感のあるテントを選ぶことのほうが、長期的には安上がりになることが多い。

また、いくら高性能なテントでも、自分のキャンプスタイルに合っていなければ意味がない。
例えば、時短派なのに、設営に30分かかるテントを選んでしまったり、くつろぎ派なのに、収納が小さすぎて荷物がはみ出してしまう場合などがあてはまる。
こうした失敗は、ほとんどが「選び方の基準がズレていた」ことに起因している。まずは、自分がどんなスタイルでキャンプをしたいのか、そこを丁寧に見つめることが重要だ。