
意外と知らない!誰でも簡単にできる夏キャンプの暑さ対策テクニックを紹介!
リビングを涼しくするテクニック
夏は林間サイトをめぐる熾烈な争奪戦が繰り広げられる。林間のキャンプ場は予約が埋まり、予約不要のキャンプ場では木陰から埋まって、正午すぎに残っているのは日差しが照りつける広場のみ。
いくら高原のキャンプ場でも、木立がない草原サイトはじんわり汗がにじむし、長時間日差しにあたっていると体にこたえる。都市に近いキャンプ場ならなおさらだ。では、真夏日でも涼しく、元気に過ごすためのリビング作りのヒントと注意点とは?
■ できるだけ西側に木がある場所を

西側や南側に木立があると、サイト内に入る日差しを和らげてくれるので随分楽。それでも日差しが入ってくるようなときは、オーニングや窓パネルなどで日差しを調整してみよう。また、木陰が少ないサイトでも、水辺のキャンプ場なら水上を渡る風を期待できる。
■ 話題の遮熱加工スクリーンタープはかなり効果あり


遮熱加工を施したテントやタープは、その中に一歩足を踏み入れるだけで気温差が明確にわかる。大型窓やベンチレーターで湿気をコントロールできれば言うことなし! 遮熱加工をうたっていないものなら、薄手のものより厚手の生地を選択。多少重くても遮光性が高い。
■ 朝夕は日陰に打ち水

毎年、打ち水イベントが行われているとおり、水をまくとその気化熱で涼しく感じる。日中は湿度があがるので、朝夕に日陰にまくのがベター。テントにかけるのも効果あり。
■ コードレス扇風機で涼風を生み出す

スクリーンタープはメッシュが多いとはいえ、オープンタープよりも風が通りにくい。小型のポータブル扇風機があれば設置し、強制的に空気の流れをつくってもいい。
■ 燃焼系ランタンではなくLEDを採用

夏キャンプの夜は、熱を発することなく広く照らしてくれるLEDランタンを用意。白っぽい光なら涼しげに見える。光を分けられるものなら、夜の散歩にも使えて便利。
朝までぐっすり快眠!寝苦しさを吹き飛ばすテクニック
蒸し暑い夏は高原のキャンプ場に逃げるに限る。しかし、夏休みのキャンプ場は混み合っていて予約が取れるとも限らない。標高が低い、盆地など蒸し暑い場所でキャンプをするとき、少しでも涼しく眠るにはどうすればいいのだろう?
■ 寝室をふたつに分ける
コンクリートに囲まれた都心部の熱帯夜ではなくても、キャンプ場にも蒸し暑い場所もある。閉ざされたテントの中に、家族みんなと寝ていれば、さすがに暑い。そこで、仲よしファミリーであっても夏はあえて寝室を分散。テントとリビングに分かれて眠ることでコントロールするというわけ。

テント=寝室、タープやスクリーンタープ=リビングという固定概念をとっぱらい、サイトをまるごと利用した広々空間で眠る。こうすることでずいぶん暑さが抑えられる。3〜4人用テントに2人、スクリーンタープに1〜2人を目安にしよう。
■ 西日がテント内に入らないよう調整

夏キャンプでやっかいなのが、西日が差し込んでテントやリビングの気温が上がること。西側に高い木や山があるサイトを選ぶか、オーニングを駆使して西日を遮断し、夜に備えたい。
■ ファンで熱気を排出

夏場のキャンプに欠かせないコードレスファン。首振り機能があれば、天井から風を送り続けることで隅のほうまでゆるやかな風が届く。端っこに寝ても蒸し暑くなりにくい。

雨の日など出入り口を閉めなくてはならないときは、ファンをベンチレーターに向けて強制的に空気の流れをつくる。テントから空気が追い出されるので、フレッシュな空気が流れ込むようになるというわけだ。
■ 風の通り道を確保して熱を逃がす

風が通り抜けやすいようメッシュにできるところはすべてメッシュに。内側が見えやすいので、設営時にテントの向きを計算しておこう。
また、コットを使えば、下に大きな空間が生まれるので熱と湿気が溜まりにくい。マットを敷いて眠るより、断然涼しく眠れるのだ。
■ シートなしならハイコットが快適

ハイコットならコート下により大きな空間ができるし、靴の脱ぎ履きも楽にできる。
■ ハイコットの背中側に送風すれば超涼しい

直接肌に風を当てるのではなく、コットの背中側に風を送る。やわらかな風となり、また、背中が涼しいので寝苦しさとは無縁だ。冷やしすぎは体調を崩す原因になるのでタイマーを活用しよう。
■ 簡易水枕で頭寒足熱

入浴後など体が火照っておさまらないようなら薄手のボトルなどを使ってクールダウン。簡易水枕として脇の下、首などに当てれば効率よく火照りがおさまる。
せっかく涼を求めてキャンプに来たのに、かえって寝苦しかったらがっかりだ。少しの工夫で、快適なキャンプ場の夜を過ごして頂きたい。

■ フライの代わりにタープを使う

メッシュテントの場合、夏向きテントのフライシートを取り外して広めのオープンタープの下に設営すれば、フライシートが夜の涼風を妨げることもなく、直接テント内に入るのでかなり涼しく過ごせるし、結露も抑えられる。
■ 涼感シーツを活用する

涼しく感じるシーツを積極的に使う。調湿作用のあるシルクシーツは、コットンの1.5倍ほどの吸水性を持っており、放湿性も良好。
■ 触れるとひんやりする竹マット

昔から夏の寝具として愛されている竹のシーツ。化繊よりも冷たく感じるし、気のせいかもしれないが一度温まってもすぐに冷たさが復活する。小さくたためないのが難点。
■ 朝日や外灯対策のアイマスク

フライシートを外したメッシュインナーテントだけで眠ると、外の明かりをダイレクトに感じてしまう。高い位置に外灯があるキャンプ場では寝つけないし、夏の朝は早いのでアイマスクを用意。
■ 暑ければ寝袋を全開に

必ずしも寝袋の中に潜り込む必要はなく、寝袋のファスナーを開いてお腹にかけるだけでもいい。ただし、寝袋なしでは朝方、冷えて体調を崩す危険がある。シーツだけでも用意しよう
涼しいキャンプ場を探し出そう!
■ 標高と気温の関係

標高が100m上がるごとに気温は0.6℃下がるので、標高が上がれば上がるほど涼しく過ごせることになる。ただし、標高によっては朝晩の冷え込みが厳しくなるので、念のため防寒着を持っていくことを忘れずに。
また「UVインデックス(紫外線が人体に及ぼす影響の度合い)」は、標高が1000m高くなると約10%増加するといわれている。
夏の乗鞍岳(2772m)で紫外線観測したところ、つくば(31m)に比べると、約40%紫外線が強くなったという。これは1000mあたり約15%強くなるということ。
涼を求めて標高の高い場所に出かけるときは、紫外線対策も忘れずに、しっかりと準備していこう。
■ 標高1000m以上にある涼しいキャンプ場
群馬県・丸沼高原オートキャンプ場

標高1500m
広大なスキーゲレンデを利用したキャンプ場。開放感抜群の広々としたフリーサイトのほか、AC電源付きサイトも15サイトある。
群馬県利根郡片品村東小川4658-58
https://www.marunuma.jp/
山梨県・PICA 富士吉田

標高1000m
さまざまな宿泊施設が並ぶ欧米型のキャンプ場。アカマツ林に囲まれたキャンプサイトは、木陰がたっぷりで涼しく過ごせる。
山梨県富士吉田市上吉田4959-4
https://www.pica-resort.jp/yoshida/
長野県・南信州うるぎ星の森オートキャンプ場

標高1200m
雄大な南アルプスの山並みを望み、晴れていれば満天の星が楽しめるロケーションが魅力。サイトは1区画120㎡と広くゆったり過ごせる。
長野県下伊那郡売木村2653-3
https://star.natureservice.jp
岐阜県・平湯キャンプ場

標高1300m
広いシラカバ林に囲まれたキャンプ場は、クルマ200台限定入場で先着順に設営できるシステム。
爽やかなフィールドでのんびりと過ごせる。
岐阜県高山市奥飛騨温泉郷平湯768-36
http://www.hirayu-camp.com/
広島県・恐羅漢(おそらかん)エコロジーキャンプ場

標高1346m
広島県でいちばん高い場所にあるキャンプ場。国定公園に指定された緑豊かなフィールドでは、トレッキングやジップラインが楽しめる。
広島県山県郡安芸太田町横川
http://www.osorakan.co.jp/summer/
大分県・くじゅうやまなみキャンプ村

標高1000m
九州の屋根と言われるくじゅう連山の麓に位置する。オートサイトのすべてにAC 電源とミニキッチンが付いている充実ぶりだ。
大分県玖珠郡九重町田野267-18
http://kokonoe.net/kyk/
手作りのサンシェードで涼しく過ごそう

フィールドで使う道具は己の分身。だから自ら作りだす。それが長野修平さんの道具作り。
今回は、夏のキャンプを涼しく過ごす竹のサンシェードの作り方を教えてくれた。

長野修平さん
ネイチャークラフト作家、野外料理人などの顔を持つ。
幼少から山菜採りで山を駆け、刃物を扱う。著書『里山ライフのごちそう帖』(実業之日本社)他。
■ 今回の素材
麻のロープ・コットンシーツ・小石

ロープにしたのは太くて柔らかい園芸用麻縄。コットンシーツはフラットのもの。小石は角がない丸石。
竹

今回は真竹の穂先に近い部分。直径3㎝ほどの細身で枝分かれのある部分を使用。
近所の竹林で声を掛け、切らせてもらうといい。
■ 今回のマイツール

■ 真夏のインナーシュラフが木陰を作るサンシェードにもなった!
自然素材のコットンシーツは見た目も肌触りも涼しいだけでなく、陽の光もほどよく遮断。
ピンと張ると布に継ぎ目がないからちょっとした雨であれば、浸透しながら縁まで流れてくれるので、途中で雫がたれることもない。
逆に暑いときには霧吹きなどで湿らせると、庭の打ち水と同じ気化熱効果により涼しくなったりもするのだ。
もちろん1枚で張った継ぎ目のない幕の、流れるような美しさは、市販のタープでは決して味わうことができない。
そうだ、自然素材のコットンシーツなのだからいっそ自然素材だけで建てよう。
この竹のポールとペグ、小石と麻縄でスクエアタープ型に。そんなサンシェードの下は、まさに自然感が溢れるだろう。
■ 竹とシーツのサンシェードの作り方

1.竹からペグの素材を切り出す
節から枝(ほとんどが2本出ている)の出た3㎝くらいの太さの竹。
その節から枝付き側に30㎝ほどの長さで筒切りし、ロープを引っ掛ける枝も3㎝ほどに切りそろえる。

2.枝先の面取りをする
ロープを掛ける枝の鋭い切り口は、ロープを掛けるときに手が当たったり、打ち込んだあとで足が当たったりしてケガをすることにつながりやすい。
なのでナイフで丁寧に面取りしておく。

3.ナタでペグに仕上げる
筒状の竹を半割りに。節の側からナタで、使用する枝付き面と枝なし面に半割り。
割り口の角をナタで磨き、枝と反対側になる先端部分を楔形にナタで削る。

4.竹ポールを作る
直径2〜3㎝くらいの枝付き竹から長さ約1.7mのポール素材を切り出す。節のすぐ下で切ると丈夫(節止め切り)で長持ちする。
腰高くらいまでの枝は邪魔なので、枝の生え口で切り取る。

5.幕へロープをつける
シーツ幕へロープをつける。縦長張りはシーツの短辺中央(ポールの位置)に5mほどのロープの真ん中を結ぶ(センターロープ)。
シーツ裏へ小石を当てテルテル坊主風に巻き結びで結わえる。

6.ペグを打ちロープを結ぶ
前後のセンターロープを竹ペグで留める。
シーツを広げロープの長さをイメージしてシーツから45度、約1mの位置へペグを打ち、枝へロープを掛けて自在結びで結わえる。

7.ポールで立ち上げる
センターロープとシーツを結んだテルテル坊主風の小石の頭を枝に掛け、前後のポールを1本ずつ立ち上げる。
自在結びの目を動かしてシーツとロープをピンと張る。

8.タープを張る
最後にシーツの4つ角へ、センターロープ同様に巻き結びでロープ(1〜2m)をつける。そして竹ペグを打ち、自在結びで4隅をピンと張れば完成。

9.完成!

ランタンも掛けられる!