
「意外と知らない」ダッチオーブンの正しい使い方知ってる?画期的なテクニックも徹底解説!
ダッチオーブンって一体どんな鍋?

もともとのダッチオーブンは鋳鉄製だけど、最近は鉄板やステンレス製も登場。
素材によって多少特性は異なるけれど、共通しているのは「焚き火の高温に対応」「重いふたでしっかり密閉」「ふたの上から加熱できる」こと。
■ 焚き火OKのタフな鍋

一般的な鍋では底が抜けたり、つまみなどが溶けたりすることもあるけれど、ダッチオーブンなら大丈夫。ふたの上に薪を載せて、上下から加熱してもいいのでパンだって焼けるのだ。
■ 密閉できるからうまみが逃げない

鍋とふたがピタッ。重いふたは、蒸気の力で持ち上がることはなく、炊飯では水分を少なめにしたほうがおいしく仕上がる。

100年以上の歴史を持つロッジのキャンプオーヴン。
鋳物で密閉性の高いふたを作るには技術が必要だが、ご覧の通り。
加熱すると水蒸気が微細な隙間に入り込み、密閉性が高まるのだ。
■ ふたで調理ができる

ふた裏に注目。フラットならふたを裏返して鉄板料理ができる。
ディンプル(突起)が付いているものは、水蒸気が食材に降り注ぎ、うまみを還元。どちらでも好みで選ぼう。
■ 重ねて同時に調理をしちゃおう

ダッチオーブンはふたの上からも加熱できる。
ということは、スタンドなどを使って重ねて調理ができるのだ。
これなら炭を無駄なく使い切れる!
ただし、焚き火台の耐荷重に注意しよう。
■ 上下から加熱できる

ふたにフリンジ(縁)が付いていれば、そのまま炭を載せてOK。
フリンジがなくても、写真のようにチャコスタを使えば大丈夫だ。スムーズにふたをあけられる利点も見逃せない。
ダッチオーブンで作る絶品キャンプ飯レシピ
■ いろいろキノコとアサリの和風パスタ

キノコはたしかにおいしい食材だと思うけど、主役にはちと物足りない。
そこで大事なのが動物性のたんぱく質との組み合わせ。今回はアサリを使う。
主張しすぎない食材のおかげでキノコが主役になれるんだ。
【材料】
シメジ・エリンギ・エノキ・シイタケ・マイタケなどキノコ類 適量
アサリ 1パック
明太子 1腹
スパゲッティ 400g
ニンニク 1かけ
レモン 1/2個
大葉 4枚
オリーブオイル 大さじ2
バター 10g
【作り方】
①パスタはフライパンで茹で、ソースはダッチオーブンで作ると容量的に合う。
ただしフライパンでは時々かき混ぜてくっつかないように茹でよう。
ダッチオーブンにオリーブオイルとスライスしたニンニクを入れて弱火で炒め、香りが出てきたらアサリを投入。
フタをしてアサリが口を開くまで加熱。
②アサリは一度取り出しておく。バターを加えて溶かしたらキノコを全部投入。
軽く塩、コショウしてかき混ぜながら火を通そう。
③パスタが茹で上がる少し前に明太子を投入。手間だけれど皮を外すと口当たりがイイ。

■ アジア風味のからあげ

【作り方】
①鶏肉にニンニク・ショウガ(各大さじ1)、砂糖・醤油またはナンプラー(各小さじ1)、みじん切りのパクチー・セロリ(各大さじ1)、塩少々を揉み込み、30分漬ける。
②この中に卵1個と片栗粉を加えてどろっとした衣に。
③低めの油で中まで火を通し、最後に高温でからっと仕上げる。
④パクチー+レモン+チリをかけて食べる。
■ ラムの香草焼き

【作り方】
①ラムチョップに塩、コショウで下味をつけ、粒マスタードを塗る。
みじん切りにしたニンニク・セロリ・ローズマリー、粉チーズを混ぜたパン粉を、ラムチョップにつける。
②網を敷いたダッチオーブンに衣をつけたラムチョップを並べて、オリーブオイルを少し垂らす。
③ダッチオーブンのふたをして、上下からの熱で15分ほど焼く
■ サーモンの混ぜご飯

【作り方】
①米を30分以上水に漬け、炊飯開始。水分は米の1〜1.1倍。
②最初は強火で加熱し、沸騰したら極弱火にして約5分でごはんが炊き上がる。
③蒸らし終わったら、ごはんに軽く塩、コショウ、バターでソテーしたマッシュルーム、シソ、ゴマを混ぜ合わせて味つけをして、その上にレモンの輪切りとスモークしたサーモンを載せる。
④サーモンの身をほぐしてサーブ。
■ 夏野菜のラタトゥイユ

熱したダッチオーブンにオリーブオイルをひき、スライスニンニク、タマネギを投入。
カットトマト(缶詰)、一口サイズに切ったピーマン、パプリカを入れて塩、コショウ、コンソメ(顆粒)を適量。
仕上げに輪切りのズッキーニ、ナスを入れ、火が通ったら完成。
■ チキンと野菜のグリル

熱したスキレットにオリーブオイルをひき、スライスニンニク、ハーブソルトをふった鶏モモ肉を焼く。
焼き色が付いたらニンジンは丸ごと、冷凍皮付きポテト、2~3cm幅に切ったパプリカ、輪切りのズッキーニを入れてフタをし上火で加熱。
仕上げにチーズをかける。
■ タコとマッシュルームのアヒージョ

熱したスキレットにたっぷりのオリーブオイル、輪切り唐辛子、スライスニンニクを入れる。
続いてブツ切りのタコ、半分にカットしたマッシュルーム、プチトマトを丸ごと入れてハーブソルトをかける。
弱火でじっくり熱し、火が通ったら完成。
■ スパニッシュ・オムレツ

熱したスキレットにオリーブオイルを引き、ベーコン、スライスタマネギ、冷凍皮付きポテト、一口サイズにカットしたパプリカを炒める。
卵と牛乳少量、チーズを混ぜてハーブソルトで味付けし、スキレットに投入。
フタをし、上火を強火で熱してふっくらとしたら完成。
■タンドリーチキン風ローストチキン

【材料】
・丸鶏 1羽(1.2kg)
・クレイジーソルト 適量
・ジャガイモ 2個
・ニンジン 2個
・タマネギ 2個
[A]
・ヨーグルト 150~200cc
・おろしニンニク 1片分
・おろししょうが 1片分
・ケチャップ 大さじ1
・カレー粉 大さじ4
・ハチミツ 大さじ1
・醤油 小さじ2
【作り方】
❶丸鶏の内側を含め、全体にクレイジーソルトをすり込む。
❷【A】をすべて混ぜ合わせ、丸鶏と一緒にファスナー付きビニール袋に入れて、冷蔵庫でひと晩寝かせる。
❸クーラーボックスから出して30分ほど置いて常温にもどし、予熱しておいたダッチオーブンにジャガイモ、ニンジン、タマネギと一緒に入れる。
❹上下から中火にかけ、40~50分加熱する。竹串を刺して透き通った汁が出てきたらできあがり。

ダッチオーブンの底にアルミホイルを敷いておくと、タレや肉汁などで焦げ付かない。

焼き上がりの焦げ色をキレイに出すためには、最後に上火を少し強めにするのがコツ。
■ 丸ごとキャベツの焼きポトフ

【材料】
・キャベツ 1個
・ベーコン 300g
・ジャガイモ 2個
・タマネギ 1個
・ニンジン 1本
・ミニトマト 8個
・コンソメキューブ 4個
・コショウ 適量
・水 1.5ℓ
【作り方】
❶キャベツに十字の切り込みを入れる。完全にカットせず芯を残す。
❷切り込みやキャベツの葉と葉のあいだにベーコンを挟み、ダッチオーブンに入れる。
❸空いている場所にすべての野菜を入れる。根菜類は大きめにカットしておけば煮くずれが防げる。
❹水とコンソメキューブ、コショウを入れる。
❺フタをして、強火よりも炭の量を減らした中火にかけ、沸騰したら弱火で30~40分煮れば完成。

切る前にキャベツをダッチオーブンの中に入れて、フタが閉まるか確認しておくように。

入れる野菜の量はキャベツの大きさに合わせて調整。入らない場合は減らしてもOK。
デザートもダッチオーブンにお任せ!
■ 焼きリンゴ

【材料】
・リンゴ 小4個
・ドライフルーツミックス 適量
・ハチミツ 適量
・シナモンパウダー 適量
・チューブ入りバター 適量
【作り方】
❶ドライフルーツミックスに、ハチミツとシナモンパウダーを入れて混ぜる。
❷貫通させないように芯抜きでリンゴの芯をくり抜き、リンゴの表面にフォークで2~3カ所穴をあける。
❸①をリンゴの穴に詰める。上まで入れず1cmほど空けておく。
❹ドライフルーツの上にバターを入れる。
❺予熱しておいたダッチオーブンに底網を敷き、④のリンゴを並べる。
❻フタ上は多めの炭で強火、下は炭を散らした弱火で40~50分加熱。触って柔らかければ完成。

芯抜きがない場合はティースプーンでも代用できるが、芯抜きのほうが簡単に抜ける。

ドライフルーツミックスが手に入らなかった場合は、レーズンだけでもOK。
■ カボチャのプリン

【作り方】
①カボチャ250gを適度な大きさに切って、蒸して柔らかくする。
皮ごとマッシュ(皮をむいた方が仕上がりはきれい)してザルなどで裏ごし。
②牛乳250ccを火に掛け、砂糖大さじ2を溶かし、冷ます。
③卵2個とカボチャ、牛乳+砂糖を混ぜ合わせる。液をこしてからカップに入れる。
あればカラメルタブレットを底に敷いておくとほろ苦くておいしくなる。
④ダッチオーブンで30分ほど蒸したら完成。
■ ブルーベリーボルケーノ
キャンプの定番、マシュマロを使った甘塩っぱいデザートはいかが? マシュマロは冷えると固まるのでやっかいだが、ダッチオーブンだと長くトロトロをキープする。もっとも、クラッカーをディップする手が止まらないのでペロリ完食、片付けも楽ちんです。

石橋拓土さん
関東・東海地方の手ぶらで利用できるBBQ会場を提供する「Hero」のイベントディレクター。野外料理の楽しさを広めるため、全国の会場を駆け巡る。今年は動画で野外料理の知恵やマナーを提供中。

【材料】
冷凍ブルーベリー 150g
マシュマロ 12個
クラッカー 1袋

冷凍ブルーベリーダッチオーブンを入れて、その上にマシュマロをたっぷり載せて弱火で加熱。マシュマロの隙間からふつふつと湯気が出てマグマみたい!

軽くまぜてクラッカーに浸す火から下ろし、スプーンなどで軽く混ぜ合わせたら塩っぱいクラッカーをディップして食べる。甘さの中に塩味があり、後を引くおいしさ!
簡単に作れて見栄えも楽しいブルーベリーボルケーノ。次のキャンプで作ってみてはいかが?
ダッチオーブン超便利テク!
■ 底網を使えば仕上がりが美しい
ダッチオーブンの底に網を敷いておけば、底だけが焦げつくのを防ぐことができる。
写真のようにアルミホイルを敷いておけば、汁が落ちて焦げることもなく、焦げくささがつきにくい。
■ シェラカップにソースをイン

野菜が蒸し上がったら、ダッチオーブンの中央にソースを入れたシェラカップを置く。
高い蓄熱性のおかげで冷めにくいので寒い季節に最適。チーズフォンデュにもいい。
■ スモークだってこの通り

アルミホイルを敷き、スモークチップを置いて加熱。
その上に網を載せて、食材を置けばスモークを作れる。
ふたは少しあけておくことがポイントだ。
■ よく熱しておけば焦げつかない

魚や卵など、食材がくっつきやすいのはダッチオーブンの温めが不十分、あるいは鉄に油がなじんでいないことが原因にあげられる。
火にかけたらよく熱してから食材を入れよう。
●ダッチオーブンに楽に手を近づけられる → 低温
●手をかざすと5秒ぐらいガマンできる、油を引くとサーッと小雨の音がする → 150〜180℃の中火
●熱くて手をかざすことができない、油を引くとバチバチという大粒の雨音がする → 200℃以上の強火
■ リフターがあれば焚き火料理がスムーズ

耐熱グローブでもいいけれど、焚き火で調理をするならリフターのほうが断然便利。
引っかけるだけのものより、しっかり支えられるもののほうが安定性が高い。

とくに子どもと料理をするなら、ふたをしっかり支えられるもののほうが安心だ。
フックを引っかけ、3本の脚で固定するので少しくらい斜めにしても落ちることはない。
知っておきたい ダッチオーブンのお手入れ・メンテナンス
野外料理で活躍してくれるのがダッチオーブン!
タフな万能鍋だが、使うにあたっては注意点もある。あらためて知っておこう!
■ 濡れたまま放置してはダメ

鉄製のダッチオーブンは、濡れたまま放置すると錆びてしまう。
洗った後は熱して乾燥。ステンレス製も早めに乾かそう。
■ 熱い鍋に冷水をかけると割れる

熱々のダッチオーブンに水をかけると、ヒートショックで割れてしまう。
雨の日など、うっかり濡れた地面に置くのも割れの原因に!
■ 鋳鉄製は洗剤不使用!

鋳鉄のダッチオーブンは微細な凹凸に油をなじませることで使いやすい鍋に育つ。
洗剤でせっかくの油を流すと錆びの原因にもなる。
■ 食材を入れたままだと錆びる

鉄は塩、酸、水と反応して錆びが出やすい。
鉄製のダッチオーブンは、料理を保存容器に移し替えてから保存しよう。
■ バーナーの仕様を確認しよう

ガス仕様のバーナーは、ダッチオーブンや鉄板を載せて加熱すると、輻射熱で燃料缶が熱せられて危険なものもある。
自分のバーナーがダッチオーブン対応かどうか、確認しよう。