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カギは“手抜き”と“特別感” 料理創作ユニット「Goma」中村さんに聞く、家族キャンプごはん術

2021.10.23

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キャンプの醍醐味でもある野外遊び。一度フィールドにとび出てしまえば、そこに「子育て」は要らず、子どもは遊びを介して自ら育つもの。そんな「子育ち」をテーマに、毎回さまざまなゲストをお呼びする連載。今回登場いただくのは、料理創作ユニット「Goma」の中村亮子さん。単身の頃からキャンプや登山などのアウトドア好きで、子どもが生まれてからも家族キャンプを楽しんでいるという中村さん。今日は、子どもにも大人にも“やさしい”中村家の定番キャンプごはんについてお話を伺ってみます。

料理創作ユニットGomaでは、食や子どもをテーマにしたものづくり活動を行いながら、個人的には山と温泉を愛し、アウトドアごはんや山おやつの研究も行なう中村さん。“無理せず楽しい”を大事にしたレシピやアイデアをたくさんの家族キャンパーと共有したいと考えているそうです。

キャンプ場では料理をしすぎない

――家族キャンプでは、食事もアクティビティも子ども中心になるものです。大人と子どもが等しく楽しめるために、中村さんはふだんのキャンプでどんな食事を心がけていますか?

中村さん:ズバリ、「料理のハードルをすごく下げる」こと。そのためにおすすめしたいのは、キャンプ場で料理をしすぎないことです。

―― えっ!いつも凝った盛り付けやこだわりレシピを提案しているGomaさんだけに、それは少し意外です。

中村さん:キャンプというとどうしても、「BBQはしないとね」とか「キャンプらしい料理じゃなきゃ」という固定概念がありますよね。それはそれで楽しいのですが、気がつくとずっと料理やら片付けやらで動き回っている、ということはありませんか?「こんなに気持ちのいい場所にいるのに、家のキッチンと変わらないな…」というのが、私も過去に何度かありました。

―― ある、ある、よくあります……。正直疲れてしまいます……。

中村さん:ですよね。私も家族でキャンプに行くようになってからは、大人だけのキャンプとは、料理の方向性も随分変わりました。親子キャンプで大事にしたいのは、野外ならではの「体験」だと思っていて。森を散歩するでもいいし、川に足を入れるでもいい。非日常的な空間でのいろんな体験を子どもにはしてほしいし、私はそれを目撃したいし、一緒に楽しみたい。そんな体験に時間を使うためにも、料理はササッと一緒に作って終わらせる方が親子キャンプはいいなと。思い切って、食をいかに削るか?という方向性になりました。

目標を1つだけ決めてイベント化する

――料理をしすぎないために、実践しているのはどんなことですか?

中村さん:目標を1つだけ決める。それを「今日は○○を作るぞー!」というイベントにして、工程をなるべく楽しめるようにしています。例えば「白米を一から炊いて食べる」とか。シンプルなことですが野外でご飯を炊くだけでも、子どもにしたらものすごく新鮮。ふだんは炊飯器で炊いているものを、キャンプでは炭火+飯盒やお鍋やメスティンやコッヘルなどで炊くことになるので、その工程は新しいことの連続です。

――確かに。炭火で炊きたてのご飯をいただくのは、大人でも嬉しいものです。

中村さん:うちではふだんから、ご飯は何合炊いてもあっという間になくなります。野外で炊きたてならなおさら!塩おにぎりや卵がけご飯でも美味しいですし、付け合わせにレトルトカレーや市販のお惣菜でもじゅうぶん美味しくいただけます。私自身、幼少時からガールスカウトをやっていたりファミリーキャンプにもよく連れて行ってもらいましたが、外で炊いて食べるご飯が圧倒的に美味しかったという記憶があります。

――大抵の子どもは白ごはんが好きですよね。

中村さん:そうですね。ごはんよりももう少し特別感を出したいと思うなら、Gomaのワークショップでもよくやっている野外での「パン作り」もオススメです。特にパン生地を木の棒にぐるぐる巻きつけて、焚き火にかざして焼き上げる「グルグルパン」はとっても楽しいですよ。焼き上がりまでにある程度時間がかかるので一見飽きてしまいそうですが、意外と子どもたちは火をじっと見て、生地を裏返しては、焼き上がるまでしっかり待つんです。香ばしい匂いがしてきたり、直火なので焦げちゃったりもするんですが、またそれも良い思い出になります。

――直火でパンが焼けるんですね!それは大人でも楽しそう。生地作りからやるのですか?

中村さん:おすすめは計量だけ家で行ない、生地作りから野外でやること。パン作りは化学反応の連続なので、子どもにとっては終始不思議で面白いことです。粉だったものが捏ねることでどんどんモチモチになって、発酵してフワッと膨らみ、最終的に生地の成型も粘土感覚で楽しめます。

――パンはダッチオーブンでも焼けますが、棒に刺して直火で、とすると、たちまちイベント感が増しますね。おやつだと、なにかアイデアはありますか?

中村さん:夏なら、透明のカップを用意して、カットしたフルーツと市販のスポンジやカステラなどを入れる「オリジナルパフェ作り」も楽しいです。簡単なものだと、スイカやパイナップルなどのフルーツを「串刺し」にしてあげるだけでも、食べやすいし、夏祭りみたいで喜ばれます。冬なら、串刺しのフルーツを温かいチョコレートにつける「チョコレートフォンデュ」も良いですね。大きいスキレットや市販のキットで「山盛りのポップコーン」を作る、などは通年できます。

――どれも簡単そうでぜひやってみたいです!ちょっとした工夫で、一気に特別感が出るんですね。

中村さん:日常ではあまりやらないようなことに、ちょっとだけ特別感をプラスするのがポイントです。一つイベントがあるだけで、「あのキャンプでスッゴイ山盛りのポップコーン食べたねえ」なんて、忘れない思い出になると思います。

“手抜き”しつつも“特別感”を出す

――大事なのは“手抜き”しつつも“特別感”を出すことですね……。考え方のコツなどはありますか?

中村さん:これといってルールはなく、「切り株に座って食べよう」「河岸で食べようよ」とか、それくらいゆるい感じで良いんです。「でも、特別だよ〜」と一言添えて。夏なら、川で果物や野菜を冷やしてどれだけ冷たくなるかを確かめるだけでも子どもにとっては大きな発見ですし、子どもが拾ってきてくれた松ぼっくりや葉っぱを食卓に並べるだけでも子どもは喜びます。その際も「川は自然の冷蔵庫だね!」とか「松ぼっくりも素敵なテーブルコーディネイトになるね」などと言ってあげると、ちょっぴり特別感が増します。

――なるほど、いろいろなアプローチがあるんですね!

中村さん:そうなんです。また、単純なことですが、かわいい食器も手抜きにピッタリです。ちなみにGomaでデザインさせてもらったオリジナルのお皿とカップがあるのですが、最終的に土に還るバンブーファイバーという素材でできているのと、落としても割れないことから、アウトドア用としても好評です。カラフルで楽しい柄なので、シンプルにおにぎりやお菓子をのせただけでもかわいくなりますよ(笑)

――子どもに向き合う時間を意識的につくるためにも、私も“手抜き”を上手く取り入れていきたいです。

中村さん:私も、子どもの発見や驚きに一緒に気づけるくらいの余裕をもっていられたら、といつも思います。そのためにもやはり、自分なりの手抜きを見つけてもらえたら嬉しいです。うちでは、ふだんはあまり使わない市販の鍋用のつゆなどもキャンプではたまに使いますし、缶詰のスープやレトルト商品の力を借りるのも全然アリ!だと思っています。

キャンプでもなるべく手作りのものを子どもに食べさせたい、という場合は、ドライカレーやトマトソースなどの応用できるソース類を作って持って行くのがオススメです。米やパスタやパンさえあれば、現地で時短で調理できるし立派な一品になります。

そもそも、食べる場所や一緒に食べる人によって、美味しさが倍増すると思うんです。ふだんと違う場所で何かを食べるというのは、それ自体スペシャルなこと。塩おにぎり一つでも感動することってあると思うんです。なので、ちゃんとしたキャンプ飯を作らなきゃ!と言う呪縛に縛られずに、今日お伝えしたこと含め、みなさんそれぞれのペースでいろいろ試してみてくださいね。

料理創作ユニットGoma

執筆者プロフィール

池尾 優
編集者/ライター。1984年生まれ。タイで現地情報誌の編集に携わった後、2010年より雑誌『TRANSIT』編集部に在籍。同誌副編集長を経て2018年に独立。京都在住。 趣味はヨガとファミリーキャンプ。あと、最近茶道をはじめました。

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