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【サバイバル】姫乃たまの「おそとで生きるもん!」 第2回:竹を刈って流しそうめん(後編)【キャンプ】

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2020/10/12
撮影係の編集者Nちゃんに「ナタはもういいですよ」と言われている瞬間

 こんにちは。無事に竹を刈って都内へ戻ってきたのに、まだナタを握っている姫乃たまです。

 先ほど、「自宅の庭を流しそうめんの会場にしていいよ」という、懐が深い友人の家に到着したのですが、なんと今度は想定外の草刈りが待っていました。

 2カ月前の下見の時にはさっぱりしていた庭が、腰まで草がわんさか伸びてワイルドになっています。完全なる誤算……。やはり自然には敵いません。

 しかし、竹林に入って竹を倒したことにより、私の心も強くなっているのです。ナタもあります。竹に比べれば草刈りくらい余裕です。

 と思ったけれど、量が多い!

 どうして伐採と流しそうめんを別日にしなかったんだろう。口には出せないみんなの後悔が、もやもやと庭に立ち込めはじめています。ついでに雨雲も近づいてきました。

 早く組み立てなければ、日が暮れて撮影ができなくなってしまいそうです。

 草刈りの終わりが見えないので、ざっくり刈った後は適当に踏みつけて作業場所を確保。いよいよここから、竹で流しそうめんのセットを作ります!

 いまからかー……。

 いまにも雨が降ってきそうです。というかちょっと降ってきた。

「ウワー!」と叫びながらナタを使うと、大変な爽快感です

 我々がいま大急ぎで作らなければいけないのは、そうめんを流す部分の竹3本と、それを支える3組の脚です。

 まずは流す部分の太い竹を、半分に割っていきます。ノコギリだと気が遠くなるので、竹の断面にナタを置いて、カナヅチで叩いて半分に割りましょう。

 もちろん私は直接叩こうとしましたが、ナタが傷つかないように間に木づちを挟むそうです。

 Iさんに木づちを持ってもらって打ち込むと、早々に木づちの柄が竹につっかえて進まなくなりました。えっ、この先どうしたら……?

 しばし呆然としていたら、Nちゃんに「ナタの端っこを叩けばいいんですよ〜」と言われて我に返りました。あっ、そうか。ナタの先端を叩き、根元を叩き、先端を叩き、根元を叩き……割れたー! 

 竹は「パッカーンッッ!」と鳴って、きれいにまっすぐ割れます。なるほど、「竹を割ったような性格」ってこういうことかー。

 竹の節の部分は中で仕切りになっているので、そうめんを流すために取り除かないといけません。

 まずはカナヅチで叩いてざっくり割り、さらにノミを使って細かく削っていきます。

 ここからさらにヤスリがけをしないといけないのですが、どう考えても間に合わないので、Iさんが助っ人として、近所に住む元風来堂(http://furaido.net)の編集者Hくんを呼んでくれました。

 いきなり野性味あふれる庭に呼び出され、事情も聞かずに竹をヤスリ始めたHくん。即座にこのカオスな状況に対応する姿を見て、編集者の凄まじさを痛感。

 いよいよ日が傾いてきましたが、ここから脚を組んでいきます。

 細めの竹をナタで三分割して(ナタに慣れて割るのが速すぎたため写真なし)、上のほうをワイヤーで縛り、開いて三脚にします。

 でも冷静に考えたら1本の竹を分割する必要はまったくなかったのですね。細めの竹を普通に3本束ねるほうがラクだと思います。

 開き具合を調節するのがなかなか難しくて、Nちゃんと試行錯誤しながら組み上げたら、そもそも竹がものすごく短いことに気がつきました。

 いま目の前に、しゃがんで流さないと使えないそうめん台が。どうしよう。

試作品になってしまった脚。私の膝丈しかありません

 Nちゃんと静かに微笑み合い、目と目で「もうこれでいっか……」と伝え合いました。この先、仲良く一緒にやっていけそうです。

 いや、でも、これ、仕事だった!!

 ふたりとも目を真っ黒にしながら作業に戻り、残っていた長めの竹を分割。分割する必要がなかったことを思い出しながら、再度縛って開き具合を調整。あー、日が暮れてきた、日が暮れてきた。

 よし、脚ができた! というか、Nちゃんが組んでくれた! Hくんのヤスリがけも完了! めっちゃきれい! プロ? いつの間にかIさんが竹の残りでキャンドルホルダーと麺つゆを入れる器まで作ってくれてる! おしゃれ〜!

 私って何してたんだっけ!!!!!

 達成感と同時に漫画家の友人、凸ノ高秀さん(https://twitter.com/totsuno?s=09)が缶ビールを持ってやって来ました。

 遊びの人が来たことで、殺伐とした現場に失われた遊び心が蘇ります。そう、流しそうめんに必要なのは遊び心……。

 なぜか凸ノさんは流しそうめんに詳しく、水の流し加減をレクチャーしてもらいながら念願の流し開始。

 あれだけ食べ物で遊んじゃいけないと教わってきたのに、なぜか大人も許容してくれるエキサイティングな食事法、流しそうめん。そうめん自体は普段食べてる麺なのに、キャッチする時の高揚感と、外で食べてる非日常的な興奮で、なんか、すごい、おいしい……!

 しかも、このいい匂いがする竹の器、今日自分たちで刈ったんですよ……。最高じゃないですか?

 さて、ひと通り流し終わったところで、秋らしい月見そうめんも楽しんでみましょう!

 バターできのこを炒めて、温玉を入れ、麺つゆもお湯で希釈してあったかくしてみました。竹の器に入れると一気に本格的な(なんの?)感じになります。

この温玉は、沸騰したお湯に卵を入れてすぐ火を止め、7分くらい放置して作りましたが、各自いい感じでお願いします!

 バターと麺つゆと竹の匂いが立ち上がってきて、体も心もぽかぽか。ものすごく雨が降ってきたのですぐ冷めましたが…。

 次回はちゃんと天気予報を見てから予定を決めよう……。あと時間配分……。アウトドアの基本……。

【次回予告】

 アウトドアってなんだっけという感じの連載初回になりました。次回は虫対策をしつつ、天気予報を見つつ、さすがにアウトドアらしい何かに挑戦しようと思っています。(具体的にはホットサンド!)。

【プロフィール】
姫乃たま(ひめの たま)
@Himeeeno

1993年、東京都生まれ。10年間の地下アイドル活動を経て、2019年にメジャーデビュー。同年4月に地下アイドルの看板を下ろし、文筆業を中心にトークイベントにも数多く出演している。
2015年、現役地下アイドルとして地下アイドルの生態をまとめた『潜行~地下アイドルの人に言えない生活』(サイゾー社)を出版。著書に『職業としての地下アイドル』(朝日新聞出版)『周縁漫画界 漫画の世界で生きる14人のインタビュー集』(KADOKAWA)など。音楽活動では作詞と歌唱を手がけており、主な音楽作品に『パノラマ街道まっしぐら』『僕とジョルジュ』などがある。
HP:
http://himenotama.com/

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