
分かりやすく解説!初心者でも簡単にできる焚き火のやり方
キャンプ初心者の中には、「焚き火をやってみたいけれど、そもそも、火の付け方がわからない」と悩む人も多いはず。
特に若いキャンパーの中には、火を扱った経験がほとんどない人もいるだろう。
そこで今回は、「火の付け方」を中心に、焚き火を解説していこう。
1. 焚き火に必要な基本の知識
①火が付く仕組み
火が付くためには、以下の3つの要素が必要であるとされている。これはよく「ファイヤー・トライアングル」とも呼ばれる概念である。

酸素
空気中の酸素が燃焼を助ける。
燃えやすい状態を作るには、薪と薪の間に空気が通る空間が必要である。

燃えるもの(燃料)
焚き火の場合は、薪や木の枝、着火剤などが該当する。
湿っていると火が付きにくいので、乾いたものを使うことが重要である。

熱源
ライターやマッチなどの火種、火花などがこれに当たる。
薪や枝に直接火を当ててもすぐに燃えないので、熱源となる着火剤や小枝(フェザースティックなど)を利用して熱を高める必要がある。
②初心者が知っておくべき薪の種類
薪には、火を起こすための「着火用」と、炎を維持するための「燃焼用」がある。概ね次のように分類できる。

火口
最初に着火する。最近は着火剤が多いが、ススキの穂や枯れた草の茎、麻紐なども火口になる。
焚き付け
火付けの始めに使う。直径が2〜5mm程度の小枝を多めに準備するとよい。燃えやすく、火が移りやすい。
細い薪
焚き付けに火が移った段階から乗せていく。直径1〜2cm程度のものが対象。数本重ねることで火が安定しやすくなる。
中ぐらいから太い薪
焚き火の主役となる。キャンプ場などで市販されている薪は、直径5〜10cmほどのものが多い。しっかりと火が育ってから投入しないと、火が消える原因となる。
2. 焚き火の火を付けるために用意すべき道具
初心者が焚き火で最初に困るのは、必要な道具を何から揃えればよいのか、という点だろう。
以下に必須アイテムを列挙する。
①ファイヤースターターまたはライター
焚き火に直接着火するために使う。
市販のライターやマッチでも問題ないが、キャンプシーンではファイヤースターターがあると便利である。
ファイヤースターターは金属棒(フェロセリウムロッドなど)とスクレーパーを使って火花を飛ばす仕組みで、湿度に強いのが特徴である。

②着火剤
火起こしがスムーズに進むようにサポートしてくれるのが着火剤だ。薪や小枝に火を移すために使い、初心者は特に用意しておくと心強い。
固形やジェルタイプなどがあり、それぞれ特徴が異なる。
ただし、薪に火が付かないからと、チューブタイプの着火剤を直接焚き火に追加すると、着火剤を伝って手元に火が来てヤケドをする恐れがある。
それがウエアに引火したら大惨事だ。絶対に行わないこと。

③焚火台
直火が禁止されているキャンプ場が多い昨今、焚火台が必須となる場合が多い。
焚き火の火を地面から離し、煙や灰の処理をしやすくするメリットがある。
初心者向けには、組み立てが簡単で安定感のある四角形の焚火台がおすすめである。

④焚き火シート(耐熱シート)
焚き火シートは、地面や芝生を火の熱や飛び散る火の粉から保護するために用いる。環境に配慮する意味でもマナーとしても必須である。
焚き火台より一回り大きいサイズを選ぶことで、火の粉が外にはみ出すリスクを減らせる。
また、シリコンコーティングやグラスファイバーを使った耐熱仕様が一般的。撥水性のあるものを選べば汚れが落ちやすい。

⑤火ばさみ・耐熱手袋
燃えている薪を移動させる時には火ばさみが役立つ。また、耐熱手袋は火傷防止に欠かせない。
いずれも安価で入手可能なので、初心者こそきちんと揃えておきたい。

⑥バケツや水
火の始末の際や万が一の消火時に備えて、バケツや水を用意しておく必要がある。安全管理の面で必須である。
3. 初心者でも失敗しない火の付け方
それでは初心者でも失敗しない火の付け方を実際に見ていこう。
①焚き付けと太さ違いの薪を用意

焚き付け用の樹皮や小枝、白樺の樹皮と麻ひもなどを用意。
焚き火スペースでは、あらかじめ焚き付けの上に細い薪を円錐状に組んでおこう。
②火口に点火

ここでは火口として、白樺の樹皮や麻ひもを使っている。そこに火を付ける。
写真ではファイヤースターターを使っているが、持っていなければマッチやライターで火を付けても問題なし。
③小枝や細い薪の中に種火を入れる

着火した燃え始めた種火を小枝や細い枝にそっと差し込む。
あとは状況に応じて燃えやすい乾いた小枝を追加していこう。
尚、写真は直火OKの場所で焚き火をしているが、キャンプ場で行う場合は焚き火台を使おう。
④少しずつ太い薪をくべていく

最初に組んでいた細い薪に火がついたら、少しずつ太めの薪をくべていく。
次にくべる予定の薪を焚き火のそばに並べ、乾かしておくこともポイント。
⑤太い薪が熾火になるまで待つ

ある程度の太さの薪に火がつき、安定したら本命の広葉樹の太薪を1本追加しておく。
太薪の一部が灰をかぶって熾火になるまで、中ぐらいの薪を適宜追加しつつ気長に待とう。
4. 火が付かない原因と対処法
①薪が湿っている
一番ありがちな原因である。特にキャンプで雨上がりだった場合は要注意。
湿った薪は乾燥している薪よりも数倍火が付きにくい。
対処策としては、あらかじめ乾燥薪を準備するか、ナイフで削って内部の乾燥部分を活用する方法がある。
②酸素不足
薪をぎっしり詰め込みすぎたり、空気が入りこまない構造で積み上げたりすると、火が消えやすくなる。
燃焼中に真っ白な煙ばかりが出る場合、酸素不足が疑われる。薪の配置などを再確認して、酸素がしっかり入るように調整しよう。
③火力不足
ライターやマッチで直接太い薪に火を当てても、着火温度まで達しづらく失敗する。
必ず細い枝や着火剤を利用して段階を踏むのが基本である。
④焦りや急ぎすぎ
火がつかないからといって一度に大量の薪を追加しても、火が消えてしまう。
火はある程度の時間をかけて大きくなるので、焦らず少しずつ薪を足していくことが大切である。
5. まとめ
初心者が陥りがちな失敗の大半は、くべる薪の順番や空気の流れ、そして着火の段取りに起因する。
火が付かない場合は、焦らず原因を特定し、一つひとつ対処していけば必ず成功に近づくはずだ。
焚き火は、キャンプの醍醐味を存分に味わえるアクティビティである。
炎のゆらめきを眺めながら、仲間と語り合ったり、調理を楽しんだりすることで、アウトドアの魅力は何倍にも膨れ上がる。
ぜひ本記事を参考に、火起こしの達人を目指してほしい。